時間外労働対策ガイド

は じ め に

ここ数年、大手有名企業が社員に対して違法に時間が労働を行わせていたとして、労働基準監督署から残業代を支払うよう是正勧告を受け、悪質な場合には書類送検されるケースが増え、これらに関して新聞紙上でおおきく取り上げられるようになってきています。

厚生労働省が公表した「割増賃金が適正に支払われていないために、労働基準法違反として是正を指導し、1企業あたり100万円以上の割増賃金が支払われた事案」で、平成15年度に支払われて割増賃金の合計は238億7,466万円にものぼり、このうち、1,000万円以上の割増賃金が支払われた事案は全体の2割近く2を占め、時間外労働の問題はもはや無視できないものになってきています。

一方で、現在の法律のもとでも、変形労働時間制や裁量労働制といった、時間外労働のリスクを小さくし、なおかつ合法的に残業代を削減できる方法は存在します。

しかし、「自分の会社に合わない」「導入と運用が煩雑」といった理由などから、対策を講じないか、自分たちの都合のいいように法律を解釈し、いい加減に導入している例が少なくありません。

こうならないために、まず自分の会社の残業実態を把握することから始めましょう。次に、この小冊子の「時間外労働対策マトリックス」を利用して自分の会社に合いそうな時間が労働対策を見つけてください。そして、対策を実行される場合には、ぜひこの分野の専門家である社会保険労務士に相談してみてください。必ずや自分の会社に合った運用のアドバイス・ヒントが得られるはずです。


編著者