税務トピックス

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2026年9月税務署システムKSK2開始。無申告の「売上が小さいから大丈夫」は通用しない!

2026年9月、税務署のシステムが変わります

―― ナイトワーク・YouTuber・一人親方・フリーランスの方へ ――

「自分くらいの規模なら、税務署も見ていないでしょう」
「何年か申告していないけど、今さらどうすればいいか分からない」
こういうご相談、実はかなり多いです。そう思っている方は、まったく珍しくありません。
ただ、2026年9月に税務署のシステムが新しくなります。 これによって、「小さいから見つからない」という前提が通用しなくなっていきます。
この記事では、何が変わるのか、放っておくとどうなるのか、そして今からならどう対応するのが一番軽く済むのかを整理しました。

目次

    ① 2026年9月、税務署のシステム「KSK2」に切り替わります

    税務署には「KSK(国税総合管理)」という基幹システムがあります。全国の税務署をつないで、申告や納税の状況をまとめて管理しているシステムです。
    現行のKSKは平成7年から使われているもので、すでに四半世紀以上が経っています。これが2026年(令和8年)9月から「KSK2」に切り替わる予定です。
    大きく変わるのは、次の3点です。

    変更点1:外部のデータとつながる

    これまでのKSKは、扱う情報の機密性が高いため、外部と切り離されていました。今後は、金融機関への預貯金のオンライン照会や、地方の税務当局とのデータ連携などが行われるようになります。

    変更点2:税目のタテ割りがなくなる

    所得税・消費税・法人税などが別々に管理されていたものが、横断的に一元管理されます。

    変更点3:外出先からデータを見られるようになる

    これまで庁舎の中でしか見られなかった情報が、調査に来ている先から確認できるようになります。持ち帰る必要がなくなるぶん、調査のスピードが上がります。
    なお、KSK2はAIそのものではありません。 あくまでデータを扱う土台です。ただ、その土台が新しくなることで、AIで分析できるデータの量と種類が大きく広がります。

    ② 「規模が小さいから見られない」が崩れる理由

    税務調査というと「大きな会社に入るもの」というイメージがあるかもしれません。ただ、実際の数字は少し違います。
    令和6事務年度の所得税の追徴税額は、約1,400億円で過去最高を更新しました。
    しかもこれは、調査件数を大幅に増やした結果ではありません。国税庁はAIを使って「調査が必要そうな先」を選定していると公表しています。数を打っているのではなく、当たりそうなところに絞って行っている、ということです。
    そして、絞り込みの精度はデータ量で決まります。KSK2で使えるデータが増えれば、精度はさらに上がっていきます。
    「小さいから見られない」のではなく、「これまでは見つけるコストが高かったから、後回しになっていた」というのが実際のところかなと思います。そのコストが、これから下がります。

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    何年分たまっていても対応します。
    資料がそろっていなくて大丈夫です。

    ③ 業種別・すでに記録に残っていること

    「自分は現金商売だから」と思っている方も多いのですが、自分の手元に記録がなくても、相手側には残っているというケースがほとんどです。

    ナイトワーク(キャバクラ・ホストなど)の方

    お店から支払われる報酬は、お店側が経費として処理しています。つまり、誰にいくら払ったかがお店の帳簿に残っています。税務署がお店を調査すれば、そこから支払先をたどることができます。これは以前からある「反面調査」という仕組みです。

    YouTuber・配信者・インフルエンサーの方

    広告収入や投げ銭は、プラットフォームから銀行口座に振り込まれます。振込である以上、記録が残ります。企業案件も同じで、支払った企業側が経費として計上しています。

    一人親方・建設業の方

    元請けは、支払った外注費を経費に入れています。当然、支払先の記録が残ります。建設業は、取引の連鎖が特に追いやすい業種です。

    フリーランス・ネット物販・ギグワークの方

    プラットフォーム経由の入金、決済サービスの履歴、取引先からの支払記録。どれも記録が残る形になっています。
    共通して言えるのは、現金で手渡しされていない限り、どこかに必ず記録があるということです。そして今後は、その記録同士がつながりやすくなります。

    ④ 放置した場合、どうなるのか

     正直にお伝えします。放置した場合と、自分から申告した場合では、負担がはっきり変わります。
    申告していなかった場合、本来納めるべき税金に加えて「無申告加算税」と「延滞税」がかかります。このうち無申告加算税は、いつ申告したかによって率が変わります。

    申告したタイミング50万円以下の部分50万円超〜300万円以下300万円超の部分
    調査の連絡が来る前に、自分から申告5%5%5%
    調査の連絡が来た後、調査が始まる前10%15%25%
    調査を受けた後15%20%30%

    ※横にスクロールします >

    ※ 本税の金額に対する割合です。調査の通知を受ける前に自分から申告した場合は、金額にかかわらず一律5%です。(令和5年分以降に適用/2026年8月時点)

    たとえば、本来納めるべき税金が300万円だった場合。自分から申告すれば加算税は15万円ですが、調査を受けた後だと57.5万円になります。その差は約42万円です。

    ※ この金額は、違いのイメージをつかんでいただくための概算です。実際の負担額は、本税の端数処理、申告する時期、対象となる年数、他の所得や控除の状況、延滞税の計算期間などによって変わります。正確な金額は、個別に試算しないと出せません。

    さらに、意図的に隠していたと判断された場合は、無申告加算税に代えて重加算税40%が課されます。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%が上乗せされます。

    延滞税も、納付が遅れた日数に応じて別途かかります。令和8年(2026年)の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%です。 この割合は毎年見直され、令和7年までの2.4%/8.7%から引き上げられました。

    なお、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、一定の要件を満たす場合には、無申告加算税が課されないという例外もあります。

    また、無申告の場合、税務署は原則5年前までさかのぼって課税することができます。悪質と判断されれば7年です。放っておいた年数が、そのまま積み上がっていきます。

    「今さら言い出しにくいから、もう1年様子を見よう」——これが、一番負担が増える選択になってしまいます。

    ⑤ 一番軽く済ませる方法は「自分から出す」

    ここまで読んで、不安になった方もいるかもしれません。

    その感覚は、正しいと思います。「たぶん大丈夫だろう」で先延ばしにするのが、一番損をします。

    ただ、対処法ははっきりしています。

    調査の連絡が来る前に、自分から申告することです。

    これが、金銭的にも精神的にも一番軽く済む方法です。制度上、そう設計されています。逆に言えば、連絡が来てからでは、この差はもう取り返せません。

    「でも、資料がないんです」

    「何年分あるのか、正直分かりません」

    そういう状態からのご相談が、実は一番多いです。通帳の記録、アプリの入金履歴、思い出せる範囲のメモ。そこから組み立てていくことはできます。完璧な資料がそろってから、では遅いです。

    ⑥ ただし、一人でやろうとすると、また止まります

    ここは正直なところをお伝えします。

    「じゃあ自分でやってみよう」と調べ始めた方が、結局そのまま止まってしまうケースを何度も見てきました。理由は、だいたい次の4つです。

    理由1:何年分やればいいのか、自分では判断できない

    状況によって、さかのぼる年数は変わります。ここを間違えると、出し直しになります。

    理由2:経費として何が認められるか分からず、手が止まる

    記録が不十分なとき、どこまで積み上げられるかは経験の差が大きく出ます。安全側に振りすぎて、払わなくてよかった税金まで払ってしまう方もいます。

    理由3:消費税の判定を見落とす

    売上規模によっては、所得税だけでなく消費税の申告も必要になります。ここを忘れたまま所得税だけ出して、あとから指摘される、というのはよくあるパターンです。

    理由4:納付の相談ができることを知らない

    一括で払えないから動けない、という方は多いです。ただ、納付の方法については相談できる余地があります。ここを知らずに止まっているのは、正直もったいないです。

    自分でやること自体を否定するつもりはありません。ただ、一度出したものを直すのは、最初から作るよりずっと大変です。 何年分もたまっている状態なら、なおさらだと思います。

    ⑦ まとめ:「そのうち」を、今日で終わりにしませんか

    もう一度だけ整理します。

     ・ 2026年9月、税務署のシステムが変わります
     ・ 外部データとつながり、「規模が小さいから見つからない」は通用しなくなっていきます
     ・ 放置すると、加算税・延滞税が積み上がります
     ・ 自分から申告すれば、負担ははっきり軽くなります
     ・ ただし、一人でやろうとすると止まります

    今日から何かが急に変わるわけではありません。でも、来年になって状況が良くなることも、まずありません。

    申告していない期間があること自体を、責めるつもりはまったくないです。忙しかった、やり方が分からなかった、聞ける人がいなかった。理由はいろいろあると思います。

    ただ、ここから先は、放っておいた分だけ確実に重くなります。 だからこそ、動くなら今かなと思います。

    まずは現状をお話しいただければ、何年分必要か、どれくらいの負担になりそうか、どこから手をつけるかを整理してお伝えします。そこまで分かれば、あとは進めるだけです。

    言いづらいことを、言いに来ていただく場所です。 まずは一度、ご相談ください。

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    資料がそろっていなくて大丈夫です。

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    ※本記事は2026年8月時点の情報にもとづいています。記載している金額はいずれも概算であり、実際の税額・加算税・延滞税は、申告する時期や対象年数、個別の事情によって異なります。税率や制度は改正される場合もありますので、実際のご判断にあたっては、必ず税理士にご確認ください。

    (参考:国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」/国税庁「延滞税の割合」/国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」/国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」/国税通則法第66条・第68条・第70条/辻・本郷 税理士法人「令和8年秋に導入される国税庁の次世代システム『KSK2』で税務調査はどう変わる?」)

    記事の著者

    代表社員 前野 峻希

    代表社員 前野 峻希

    税理士法人まえの 代表社員。公認会計士・税理士。
    創業から40年近くの歴史を持つ税理士法人まえのの代表を務める。
    豊富な税務調査対応や決算対策の経験を土台に、申告書の作成や記帳代行にとどまらず、チャットなどを活用していつでも相談できる経営のパートナーとして中小企業を支援している。
    税理士法人まえのは、税務顧問・相続税・事業承継、freeeを活用したクラウド会計・DXによるBPO/BPM支援など幅広いサービスで中小企業の成長と発展に寄与している。

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