精神分析学で「事後性」と呼ばれる現象があるそうです
幼いころにまったく意味が理解できなかった言葉が
その後成長してから ある時突然意味を獲得して
その人の心の中で大きな影響を与える といった現象のことを言うようです
ですから 子供が小さいのでまだ意味が分からないと思って
不用意なネガティブな言葉を聞かせてしまったような場合
その子が成長して思春期や成人になって突然意味を獲得し
心に傷を残してしまう という事があるので
相手が乳幼児だからといって「可愛くない」とか「生まれてこなければよかった」などという
ようなことはどんなことがあっても言ってはいけないのです
言った本人は覚えていなくても そのような否定的な言葉が
その子の一生に大きなダメージを与える可能性があるということです
逆に 若い時はピンとこなかった親の助言が その当時の親の年齢になるころになって
腑に落ちるといった経験は誰しもあると思いますが
そのようなのも「事後性」の一種という事です
自分自身を振り返っても 昔母親が言っていた言葉を今になって思い出し
なんであの時はその意味が分からなかったのだろう と思い返したり
もっと感謝の言葉を言っておけばよかったと今になってくやんだりしています
親から言われた助言がわからなくて あるいは「なぜそんなことを言われるのか」と
反発を覚えたり 腹立たしく思ったりすることもあると思います
よく親にならないと親の気持ちはわからない などともいわれますが
言った方の人間はよかれと思っての言葉に 反発や怒りの言葉が帰ってきたり
年寄りのたわごとと一蹴されたりすると 今は親の方の立場になって思うのは
「年寄りの冷や水」とか「時代についていけなくなってボケ老人になってしまった」とか思って
自分の言動に苦い思いをかみしめることもあります
ある種の言葉は その状況における意味を示すのみならず
心の中で時間をかけて発酵すれば より深い別の意味にも昇華し得ると研究されています
最近は タイパが大切にされ できるだけ速く効果を発現させることが求められますが
ゆっくりと時間がたち 言葉が熟成して やっと意味が理解できるという言葉もあると理解して
心のキャッチボールと思って 対話も その時間も大切にできればよいのにと思います