日本での大変な危機的な問題として少子化が叫ばれています

今から30年ほど前 出生率が1.42になったというニュースをうけて

少子化についての研究・提言をしようという委員会が立ち上げられメンバーとして参加したことがあります

その時 多くの(男性の)メンバーの意見は税制優遇であったり いわゆる(今でいう)子供給付金を給付するといった案でした

それに対して(女性の)メンバーは子育ての現場での負担であったり 子育ての中心とされている女性の置かれている立場であったり

そこの意識改革や改善がまず必要だという意見であったと覚えています

スーパーウーマンシンドロームなどという言葉が言われたのもそのころです

そのすっと後 別の委員会で少子化対策成功事例としてフランスの現状の視察にも参加させていただきましたが

企業内保育施設や団地などの居住区域の保育施設の充実 出産育児をする女性に対する支援制度などの充実を目にすることができました

そこでは 単純に施設があるから預ければよいとか 子供手当を給付するといった捉え方でなく

社会全体として子育てをするという思想が共有されているように感じました

総務省が公表した2022年の就業構造基本調査によると 

就業者のうち女性は3035万人と前回調査から121万人増加し過去最高となり 

仕事をしている女性の割合は25~39歳で初めて8割を超えたそうです

共働きの増加や保育所などの整備で家庭生活との両立もしやすくなってきたのが要因ではないかと言われています

しかし そのような数字を見て 手放しで良くなってきたと喜べないような気がしました 

調査の細かい中身が見られていないので それに対して意見を述べるなどできる立場ではないのですが

就業している女性の多くがパート・アルバイトという非正規就業者であるということであったり

共働きが増加したのも 意識の変化はあるにしても そうしなければ満足できる生活ができないということも大きいのではないかと思います

女性社員と男性社員の給与格差の問題をとってもこの非正規就業とは強い関連性が見られ

女性の正規雇用比率が20代後半から下ル「L字カーブ」を描いているという指摘も問題となっています

やはり**年前の(女性)メンバーの訴えは基本的には改善されていなくて

未だに家事や育児の分担が女性に偏り 働くにしても時間の融通が利きやすい非正規就業を選ぶことにならざるをえなかったり

家事や育児に時間を割くことは働くものとしての欠点(戦うには不利な条件)ととらえられるような気風がどこか底辺にながれていることによるものだと思います

「ガラスの天井」というワードはかつてアメリカ大統領選で敗北宣言をしたヒラリー・クリントンの言葉で注目されましたが

7年たった現在でもその天井は破られていないといわれていますし 今では「ガラスの崖」という言葉も使われています

最近 新聞で「出産は損」というお茶の水女子大学教授 永瀬伸子先生の記事を見ました

まさに 女性が働き続けられ 子育てもできる雇用改革は全く不十分で 

キャリアを視野にいれている女性にとって 

「無限定正社員」という長時間労働ok 転勤や配置転換は会社の指示のままOKという働き方ができる

すなわち家庭より仕事を優先することが高い評価と昇進・昇格につながるという 今の会社の考え方がある限り

「出産することは損」以外の何物でもないし 子供が欲しいのならば仕事での高い評価はあきらめなければならないということです

私(達)が昔「仕事を続けるためには何が欲しいですか」というアンケートの質問に対して「主婦」と言い返したその現状は

底辺のところでは何も変わっていないのかと 心が痛くなります

「男なら・・」と言われのない期待をされる男性社員も 今となっては そんな期待をされても嬉しくもないのでは と思っていますが

いつになったらこの底流の意識は変わるのか

「私は育児も家事も手伝う 優良な夫 です」などと自慢する男がいなくなるのか

子供や孫を見ていると少しはかわってきているのか と思うこともなくはないのですが

今 社会をリードしていると自負する経営者の方々から 行動を起こしていただければ と思ったりしています