無用の用 という言葉があります

最近 今年のノーベル化学賞を受賞された 北川進先生がおっしゃったことで

注目されました

その意味は

一見役に立たないように見えるものが 実は重要な役割を果たしているという ことで

老子の思想に由来し 

例えば「器を作るための空間は無用に見えるが その空間があるからこそ器は作れる」という教えが含まれている

と解説されていました

それについて 色々の例えが 色々な人からあげられていました

雨が降らないかもしれないけど持っている折りたたみ傘 空を見ながらドキドキして上の空にならなくてよかった

ゴミに見える落ち葉も 分解されることで森の土壌を豊かにし そこに住む生き物たちの生活環境を守っている

時間を無駄に過ごしているように見える休日も 心身のリフレッシュに役立っている

スポーツチームの控え選手

自動車のハンドルの遊び・・    色々ありました

そのように考えると

趣味の時間 映画やマンガ もそうかもしれません というものの

それは人によるもので ある人にとっては「無用の用」にみえるかもしれませんが

別の人にとっては無用どころかそれがなければ生きる甲斐がないほど大切なもの という事もありそうです

いちいち「多様性」などとご大層な分析をすることもありませんが

世間的な価値観だけで物事は測れないということでしょうし

自分の価値観と一致しないからといって 切り捨てるものでもない という事でもあるでしょうし

役に立たないと見えるものがかえって大切な役割を果たしているという原義から

湯川秀樹先生は冗長性の効用や独創性への示唆を読み取られた という話もあり

偉大な科学者の感性に感動すら感じるところです

きっと 日常のなかで偶然から価値を発見する能力があって 

それが科学の発展やイノベーションにつながるのだろう と納得するところでもあります

そんな大層なことでなくても 

すぐに 「何の役にたつの」とか「効率的か」などと目先のことでぎすぎすしたり

無駄と決めつけて切り捨てようとする 今の風潮のなかで

冷静にゆったりと物事を受け止められれば良いのにと思います